日本の古典音楽「雅楽」を習う大津市の和田神社・奏和会を取材
大津市の膳所にある和田神社をご存知でしょうか?
境内には樹齢約650年を誇る銀杏の巨木がそびえ立つ、歴史ある神社です。
この場所では、「奏和会」の皆さんが日本の伝統音楽である「雅楽」を練習されています。
今回は実際に、活動の様子を取材させていただきました。

雅楽の魅力
雅楽は1,000年以上の歴史を持つ世界最古級の合奏音楽ですが、私たちがよく聴くような西洋音楽とは異なる特徴がいくつかあります。最大の特徴は指揮者がいないことです。演奏は互いの呼吸や空気感を読み取り、まさに以心伝心で音を重ねていきます。リズムの間にも独特な溜めや間があり、そのタイミングを合わせることで、繊細な音の響きが生まれます。もともとは大陸から伝わったものですが、発祥の地ではすでに失われており、日本でしか聴くことができない貴重な音色が受け継がれています。
3つの管楽器で奏でる
雅楽の演奏において中心となるのが、三つの管楽器「三管」です。
主旋律を担当する楽器が、篳篥(ひちりき)です。
竹の管にリードを差し込んで吹く楽器ですが、このリード作りが非常に繊細で、完成するまでにたくさんの工程が必要です。

演奏前にはリードを温かいお茶に浸して馴染ませます。お茶の成分がリードの繊維に入り、美しい音を出すために欠かせない準備なのだそうです。

その篳篥の旋律を支えるのが横笛の龍笛(りゅうてき)です。吹き口に下唇を当てて鳴らし指の関節を使って穴を塞ぐといった、リコーダーの感覚では吹くことのできないレベルの高い楽器です。体験しましたが、吹き口に上手に息が入らず、音を出すだけで精一杯でした。
そして美しい和音を奏でる、笙(しょう)という伴奏楽器。笙は他の楽器よりも先に音を出して周囲を導く役割を持っており、音程を合わせる基準となります。竹の一本一本のリードに使われている蝋を温めないと音が出ない仕組みになっており、また呼気による水分を乾かすためにも、電熱器などで必ず温めることが必要な楽器です。演奏の開始前や合間に、火鉢や電熱器の上で、笙をくるくると回していました。

不思議な楽譜
雅楽の楽譜を見せていただくと、漢字とカタカナが記されていました。

カタカナで書かれているのは唱歌というメロディの歌です。雅楽では「歌えないものは吹けない」と言われているそうで、まずはこの歌を暗記することから始まります。衝撃だったのが楽譜に書いていないのに音を下げる場所などがあり、楽譜に手書きメモがたくさんありました。伝統を正しく受け継がれることは素晴らしいと感じました。
まとめ
今回の取材で最も印象的だったのは、雅楽は思いやって演奏されていたことです。主旋律の人が少し苦しそうであれば周りがテンポを調整し、笙が基準の音を示して全体を支え、常に相手を思いやることで1つの曲が完成します。神社という静穏な空間で、高校生から大人まで一緒に合奏される姿は、とても美しいものでした。
奏和会の皆さん、貴重なお話をありがとうございました!
和田神社
アクセス:京阪石山坂本線「膳所本町駅」から徒歩約5分
http://www.wadajinja.jp/
奏和会 体験・見学は随時受け付けています。
練習日時:毎週金曜日 午後7時より
連絡先 :077-522-2057

2026.5.9

59 ビュー
